労働環境改善の取り組みとしてまず必要になるのが現状の把握と分析です。自社で働いている社員の意識や実態を正しく認識することが、適切な対策を講じることに結びつきます。
現状を把握する方法としては、定量的なデータへのアプローチと、定性的なデータへのアプローチがあります。
自社の離職率や年次有休休暇取得率の定量的データを把握する方法と、時間外労働や休日労働の負担感、業務配分の状況、退職理由、社員が思う働きやすい職場とは、といった定性的データをアンケート等で収集する方法があります。
データが収集できたら、推進チームにより、KJ法、SWAT分析等の手法によりこれらを分析し、自社の勤務
環境に関する課題を整理しましょう。
【 課題の優先順位付けの例 】
重要度 | 緊急度 | コスト | 対応策 | |
---|---|---|---|---|
課題① | ◎ | ◎ | 中 | |
課題② | △ | ◎ | 小 | |
課題③ | ○ | ○ | 大 | |
課題④ | ◎ | ○ | 大 | |
課題⑤ | ○ | △ | 中 |
重要度や緊急度、かかるコスト等に応じて、課題の優先順位付けを行いましょう。
※KJ 法:カード記入等により多くのデータを集め、それらを整理・統合し、問題解決法や新たな発想につなげるための手法です。
※SWAT 分析:自社のS( 強み)、W(弱み)、O(事業機会)、T(事業脅威)の4つの要因に分析し、会社の成長戦略を導き出す手法です。
※委員会運営のポイントは、参加者の経験・印象論にならないよう、上記の例)のような客観的データを示すことで、より建設的な議論ができるようにすることです。「時間外労働時間数」や「有給休暇取得数」のデータを収集し、メンバーで情報共有することが大事です。
既存データで把握していない情報がある場合や、既存データからある程度、課題がみえてきた点については、アンケート・ヒアリングを行い、背景の原因を探っていきましょう。
例)<面談による意見交換>自社の状況全体を見てから、優先的に解決すべき問題を浮き彫りにし、次に個別の問題に目を向けてその背景にある課題が生じている原因を特定していくと効率的です。
例)<優先的に取り組む課題を議論>※OJT:On-the-Job-Training 職場で実務をさせることで行う社員の職業教育です。
※Off-Jt(参考):日常の職場を離れて行う教育訓練のことです。講習会、職場外での集合研修等があたります。