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Ⅱ.労働環境改善の進め方労働環境改善マニュアル

【 ステップ3 】現状分析

労働環境改善の取り組みとしてまず必要になるのが現状の把握と分析です。自社で働いている社員の意識や実態を正しく認識することが、適切な対策を講じることに結びつきます。

現状を把握する方法としては、定量的なデータへのアプローチと、定性的なデータへのアプローチがあります。
自社の離職率や年次有休休暇取得率の定量的データを把握する方法と、時間外労働や休日労働の負担感、業務配分の状況、退職理由、社員が思う働きやすい職場とは、といった定性的データをアンケート等で収集する方法があります。

データが収集できたら、推進チームにより、KJ法、SWAT分析等の手法によりこれらを分析し、自社の勤務
環境に関する課題を整理しましょう。

【 課題の優先順位付けの例 】

  重要度 緊急度 コスト 対応策
課題①  
課題②  
課題③  
課題④  
課題⑤  

重要度や緊急度、かかるコスト等に応じて、課題の優先順位付けを行いましょう。

※KJ 法:カード記入等により多くのデータを集め、それらを整理・統合し、問題解決法や新たな発想につなげるための手法です。
※SWAT 分析:自社のS( 強み)、W(弱み)、O(事業機会)、T(事業脅威)の4つの要因に分析し、会社の成長戦略を導き出す手法です。

【ポイント】
定量的データで実態把握と情報共有
例)
  • 離職率
  • 時間外労働時間数
  • 年次有給休暇取得数
  • 健康診断受診率
  • 社員への教育・研修の回数

※委員会運営のポイントは、参加者の経験・印象論にならないよう、上記の例)のような客観的データを示すことで、より建設的な議論ができるようにすることです。「時間外労働時間数」や「有給休暇取得数」のデータを収集し、メンバーで情報共有することが大事です。

不足する情報は、定性的な調査で把握

既存データで把握していない情報がある場合や、既存データからある程度、課題がみえてきた点については、アンケート・ヒアリングを行い、背景の原因を探っていきましょう。

例)<面談による意見交換>
  • 1人あたり15 分程の面談を行い、悩み、要望、職場の雰囲気を聞く。直接話を聞くことにより、生産性向上を妨げる要因を除去していく。
例)<現場でのタイムスタディ>
  • 各職種が本来行うべき業務以外(他職種が行うべき仕事、補助者で可能な仕事)に時間が使われていないかの調査。各職種が本来業務を実施することが、生産性を高めるという観点から、役割を職種横断的に整理する。
課題抽出と原因分析は、「全体」を見てから、「個別」を見ていく

自社の状況全体を見てから、優先的に解決すべき問題を浮き彫りにし、次に個別の問題に目を向けてその背景にある課題が生じている原因を特定していくと効率的です。

例)<優先的に取り組む課題を議論>
  • もっと魅力ある職場にするにはどうするか検討。「労働時間が長い」、「休みがとれない」、「疲労度が高い」という現状で、優先的に取り組むことを議論。結果として、「生産性向上」のためには、社員の更なる技能習熟が必要だ、という結論に至り、「ベテラン社員によるOJT の強化」を優先的に取り組むこととした。

※OJT:On-the-Job-Training 職場で実務をさせることで行う社員の職業教育です。
※Off-Jt(参考):日常の職場を離れて行う教育訓練のことです。講習会、職場外での集合研修等があたります。

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