どれほど素晴らしい経営理念を持っていても、どれほど素晴らしい製品やサービスを提供していても、企業を維持・発展させるための収益が伴わなければ、いずれその企業は消えてなくなります。その収益を常に確保していくためには、受注本位、利益本位、顧客本位の経営から、クライアントや社会の課題を解決する「ソリューション型」の経営へシフトしなければなりません。一方で社内では社員の成長を支援していくことで社員の会社に対する帰属意識や誇りを高めるとともに、技術やノウハウの蓄積、生産性の向上を通じて企業の価値を向上させていくことが重要です。
日本では昔からCSRを意識した商いの考え方がありました。近江商人の「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」という「三方よし」の精神です。実は、この考え方が今の経営にも非常に重要なポイントなのです。自分たちの
製品やサービスを買ってくれた人を幸せにし、社会全体に好影響を与えた結果、自分たちの利益に結びつくという考え方です。これこそがCSRの根本的な考え方であり、これを企業戦略のなかにきちんと位置づける必要があるのです。
今の時代、CSRは企業経営にとって無視できない重要なテーマとなりました。経営の根幹にCSRを据えることで、企業価値を向上させ、長期にわたる持続可能な発展の礎を作ることが可能となります。確かに、CSRには手間ひまがかかります。企業としての取り組むべきことを決め、それを社員全体に浸透させ、地道な取り組みを継続していくことが求められます。これをコストと捉えるのではなく、信頼を得るための投資と捉えなければなりません。CSRに積極的に取り組むことで、経営者はもちろんのこと、CSRを実践する一人ひとりの社員が社会のさまざまなニーズに気づき、多様性を学び、時代の変化に対応できる力を身につけられるようになります。その力が結集したときに、社内の変革を起こす大きな力をなり得るのです。
CSRに取り組むことで、社会の様々なニーズに気づき、 社会の課題へ事業の力でチャレンジし、新たな企業価値の創造、新たな市場の創造、新たな顧客の創造等、長期に渡って高い収益性を上げる企業を創ります。